Microsoft 365 Personal と Microsoft 365 Business Standard どちらを使う?
Office 365 から Microsoft 365 へのブランド変更に伴い、記事を更新しました。
従業員が複数いる組織の場合は、迷わず Microsoft 365 Business Standard(旧:Office 365 Business)を使うと思うのですが(そのほうが管理しやすいので)、1人で仕事をしている個人事業主の場合には、「Microsoft 365 Personal(旧:Office 365 Solo)を使う手もあるんじゃない?」と考えると思います。そこで、Microsoft 365 Personal と Microsoft 365 Business Standard の違いを確認しつつ、どちらを選ぶか考えてみます。
使えるアプリは同じ
Microsoft 365 Personal の説明ページとMicrosoft 365 Business Standard の説明ページを見比べると、使えるアプリについては、まったく同じです。業務でよく使う Word、Excel、PowerPoint、メールソフトの Outlook を利用できます。
使えるサービスは若干違う
使えるサービスについては若干異なり、Personal のほうには Skype の無料通話権(1か月につき60分)が付いてきます。
もともと Skype 同士の通話は無料ですが、Skype は固定電話や携帯電話に発信することもでき、その通話が60分ぶん無料になるのです。大手キャリアの携帯の通話料が20円/30秒であることを考えると、2,400円分の通話ができることになります。月に10回、5分程度の電話をかけるというような使い方をしている人にとっては、携帯電話代の削減になるかもしれません。60分を超えた場合には Skype クレジットを購入すれば OK です。「相手に通知される発信者番号はどうなるの?」と心配になるかもしれませんが、携帯電話の番号を表示させるように設定できるので、相手からの折り返しは携帯電話にしてもらうことも可能です。日本の携帯電話の番号は発信者番号として登録できません。設定しようとすると、「内部エラーが発生しました」というメッセージが表示されます。発信者番号通知に関する Skype のヘルプページの「発信者番号通知はどの国で利用できますか?」にも、「携帯電話番号を使った発信者番号認識は、中国、香港、日本、メキシコでは利用できません。」と記載されています。犯罪の防止のために、発信者番号通知に携帯電話の番号を指定できなくするように総務省からの指導があったようです。確かに、Skype のアカウントは、メールアドレスがあれば、ほぼ無限に作成できるので、発信者番号に携帯電話の番号を指定できるようにしてしまうと、オレオレ詐欺などに悪用されそうです。
ちなみに、Skype では有料で 050 番号を取得できる仕組み(Skype番号)もありますが、こちらも番号通知には利用できないようです。
同じように見える OneDrive ですが、こちらも微妙に異なります。使用できるファイルの容量はどちらも 1TB ですが、Business Standard 付属の OneDrive のほうが細かいアクセス権の設定が可能です。Business Standard は組織内の複数のユーザーで共同作業することを前提としているので当然といえば当然ですね。
無料の OneDrive を使っていた人が Business Standard 付属の OneDrive を使い始めると、OneDrive のフォルダが2種類作成されます(下の画像)。「OneDrive – 組織名(下の画像では Contoso)」が Business Standard 付属の OneDrive、「OneDrive – 個人用」のほうが無料の OneDrive です。
Business Standard を購入しても、無料の OneDrive が有料化されるわけではなく、容量も増えないので注意が必要です。まぁ、無料の OneDrive から Business Standard 付属の OneDrive にデータをコピーすればよいだけのお話ですが。
その他の違い
アプリをインストールできるデバイスの数
Personal は Windows PC、Mac、タブレット、スマートフォン (Windows、iOS、Android) など、同一ユーザーが使用するすべてのデバイスにアプリをインストールできます(台数に制限なし)。ただし、同時にサインインできるのは5台までです。
一方、Business Standard は、最大5台の Windows PC または Mac、最大5台のスマートフォンと5台のタブレットにアプリをインストールできます。
インストールできる数に違いはあるものの、実用上の差はほとんどないといえます。
稼働率の保証
Business Standard のほうは、「Office 365 のライセンス認証に関する問題が発生したために、Office アプリケーションが機能制限モードに移行している期間」が月間0.1%以上あったときには利用料金の返金が行われます(稼働率99.9%以上を保証)。
Personal についても利用規約を確認したのですが、稼働率についての記載がなかったので、おそらく保証はされていないと思われます。
商用目的の利用の可否
Business Standard が商用利用できるのは当然ですが、Personal については、旧商品である Office 365 Solo のころに商用利用の可否について不明確だったものが、その後明示されるに至ったという経緯があります。Office 365 から Microsoft 365 に移行するにあたって扱いが変更されるか注目されていましたが、利用規約で「Microsoft 365 Personal サブスクリプション。お客様のみ使用できます。Microsoft サービス規約に記載されている非商用目的の制限は、日本に居住するお客様、または日本に居住していたときにサービス / ソフトウェアに対するサブスクリプションを取得したお客様には適用されません」と明記されているので、移行後も問題なく商用利用できます。この書き方からもわかるように、Personal が商用利用できるのは、日本版のみです。日本独自の商品だった Office 365 Solo が Microsoft 365 Personal に引き継がれたためのようです(その分、海外の Microsoft 365 Personal よりも値段が高く設定されています)。
結局、どちらを選ぶべき?
ここまで両者を比較してきましたが、どちらを選ぶべきかは使い方によると思います。
Microsoft 365 Personal が向いている人
- Skype 通話で電話料金を節約したい
Skype の無料通話権を考慮に入れれば、年間28,800円分(40円/分×60分/月×12か月)の電話料金を削減できます。普段それほど電話をかけない人であれば、かけ放題プランを外すことができるのではないでしょうか。ただ、発信者番号が「非通知」になってしまうので、使いどころが限られてしまうかもしれません - 現在、無料の OneDrive を利用しており、その環境を変えたくない
上でも説明したように、Business を利用すると無料の OneDrive とは別のスペースが付与されるので、環境を変えたくないのであれば Personal を使ったほうがよいでしょう
Microsoft 365 Business Standard が向いている人
- 将来従業員を雇用する可能性がある
従業員を雇用する場合、従業員の入退社に応じてライセンスの増減をする必要がありますが、そのような管理をするには年間ライセンスの Personal は向きません。ファイルの共有なども組織を前提とした Business Standard 付属の OneDrive のほうが扱いやすいでしょう - 少しでも安く使いたい
Business Standard の利用料金は月額990円なので、年間11,880円です。Personal は年間12,744円なので、1,000円ほど安く利用できます。また、月々の支払なので、途中で利用をやめるのも簡単です - サービスを安定して利用したい
稼働率保証があるのは Business Standard のほうなので、少しでも安定して利用したいのであれば、Business Standard を選ぶべきかもしれません
個人的には Microsoft 365 Personal を選ぶかな。。どうやら Amazon のサイバーマンデーセールで割引で買えるようですし、今のところ従業員が増える見込みもないので。
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