無料で使える電子契約サービスの比較
フリーランスになると契約を締結することが増えますが、契約書は一定の場合に印紙税がかかります。よく使う契約書の中で、印紙税がかかるのは請負に関する契約書(2号文書)と継続的取引の基本となる契約書(7号文書)です(他にもあるので、詳しくは印紙税額の一覧表(その1)、 印紙税額の一覧表(その2)をご覧ください)。特に継続的取引の基本となる契約書は、具体的な取引が発生する前に取引金額に関わらず契約書1通につき4,000円の印紙税がかかるので、割とインパクトが大きいです。
ただ、印紙税がかかるのは契約書の原本を紙で作成した場合に限られます。印紙税は文書に対して課される税金で、電磁的記録により作成された契約の内容を証明したもの(以下、「電子契約書」とします)には、適用されないためです。これを逆手に取った(?)のが、電子契約サービスで、契約手続がオンラインで完結し、契約書の郵送などの手間がかからないことと、印紙税を節約できることなどをアピールポイントとして、利用者が増えてきています。
とはいえ、フリーランスが締結する契約書の数はそれほど多くはないですし、できれば無料で済ませたい、ということで、無料で利用できるサービスを比較してみました。今回比較したのは、クラウドサイン、Agree、NINJA SIGNの3つです。
3サービスの比較
3サービスを比較してみると、以下のようになります。
クラウドサイン | Agree | NINJA SIGN | |
---|---|---|---|
作成できる電子契約書数 | 5通/月 | 10通/月 | 5通/月 |
契約書の登録方法 | PDF、Word、Excel | PDF、Word | |
設定できる入力項目 | テキスト チェックボックス 押印 | テキスト チェックボックス 押印 | テキスト 押印 |
タイムスタンプの付与 | なし | あり | なし |
ひな型の提供 | あり | なし | なし |
オリジナル押印画像の設定 | 不可 | 可 | 不可 |
比較項目について説明
作成できる電子契約書数
無料プランの場合には、各サービスとも月間に作成(送信)できる電子契約書の数が制限されています。Agree は10通、他のサービスは5通までです。
契約書の登録方法
サービスに契約書を登録する方法です。クラウドサインは PDF のみですが、Agree は Word や Excel のファイルをアップロードすることができ、自動で PDF に変換してくれます。どのように変換されるかはシステム次第ですし、アップロードしたファイルを編集できるわけでもないので、基本的には PDF をアップロードしたほうが無難だと思います。
これに対して NINJA SIGN の場合は、Word ファイルをアップロードすると、Google ドキュメントに変換されます(要 Google アカウント連携)。この Google ドキュメントを編集したり、相手方の名前の入力欄をあらかじめ定義しておくことができるのが、NINJA SIGN の大きな特徴です。
設定できる入力項目
登録した電子契約書に対して相手方に記入してもらう入力項目を追加する機能です。クラウドサインと Agree は、住所や氏名の入力に使えるテキスト入力欄と、チェックボックス、押印場所を設定できます。
NINJA SIGN は、上記の編集機能を利用して入力項目が設定できるためなのか、PDF をアップロードした場合には、押印場所のみ設定することができます。
タイムスタンプ
各サービスとも、作成された電子契約書にサービス運営者の電子署名が付与されます。これによって、契約内容の存在について第三者が証明してくれるので、例えば裁判の証拠としても利用できます(署名したのが本人であることを証明するにはこれだけでは足りず、署名者の電子証明書が必要となるでしょう)。
一方、税法上も取引の証拠となる契約書を保管する必要がありますが、税法上、電子契約書をもって取引の証拠とする場合には、タイムスタンプの付与が必要となります(詳しくは、税理士さんの解説ページをご覧ください)。
このタイムスタンプの付与に無料プランで対応しているのは、Agree のみです。
ひな型の提供
契約書の作成に慣れていない人の場合、どこかから契約書のひな型を持ってくる必要がありますが、ひな型がサービス内で用意されていれば探す手間が省けます。
クラウドサインは契約書のひな型を提供しており、必要に応じてアップデートしているようなので、便利だと思う人もいると思います。ただ、ひな型の契約書の文言は変更できないので、過度の期待はしないほうがよいでしょう。
オリジナル押印画像の設定
電子契約書において、画像として表示される押印(っぽいもの)は、何の意味もなく、紙の契約書に見た目を似せるためのギミックにすぎません。そのため、ほとんどのサービスでは入力した文字を赤い四角形の中に収めたものを表示するだけなのですが、Agree だけはオリジナルの押印画像を設定することができます。ちょっとした機能ですが、心憎い演出です。
まとめ
電子契約サービスも日々進化しているので、今後、無料プランのサービス内容が変更になる可能性はありますが、個人的には現時点では Agree が一番使いやすいと思います。
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